会社(法人)の「破産」と「休眠・休業・廃業」は何が違うのですか?

(ここでは分かりやすくするために「通常清算」も加えて説明します。)

大枠から解説しますと、これらは①「法人格を残すか否か」と②「債務超過か否か(資産と負債のどちらが大きいか)」で分かれます。

①法人格 ②資産と負債 選択肢
法人格を残す(再開の可能性あり) 休眠・休業
法人格を消す(再開の可能性なし) 資産 > 負債 廃業・通常清算
資産 < 負債(債務超過) 破産・民事再生

フローチャートにすると以下のようになります。

破産・民事再生と休眠・休業、廃業・通常精算(解散)のフローチャート

各手続きの詳細比較

休眠(みなし解散リスクあり)

定義 事業を止めるが法人格は維持。登記変更なし
費用 ほぼゼロ(税務署・都道府県への届出のみ)
注意 12年間登記変更がないと法務局がみなし解散処理する
適用場面 事業再開の可能性がある、売却先を探している

休業

定義 税務署・自治体に「休業届」を提出して事業を一時停止
費用 ほぼゼロ
メリット 法人住民税の均等割(最低7万円/年)が免除される自治体あり
適用場面 数年単位で事業を止めたいが法人格は残したい

※ 休眠と休業の実務上の差。「休業」は税務上の届出行為で、「休眠」は登記上何もしない状態です。明確な法的定義の差は薄いといえます。

廃業(個人事業主用語)

定義 厳密には個人事業主が事業を止めること
(法人の場合は「解散→清算」が正確な用語)
費用 ほぼゼロ。税務署に廃業届を提出するだけ(法的手続き不要)

※「休眠・休業」や「廃業」で解決できないこと 「休眠・休業」や「廃業」は、あくまで「営業を止める」だけの手続きです。会社に残った「債務(借金・借入金・負債・滞納税・滞納社会保険料)」が消えるわけではありません。 債務を残したまま放置(休眠・休業・廃業)すると、数年後に忘れた頃に債権者から督促が来たり、遅延損害金が膨れ上がったりして、あなたの新しい生活を脅かすリスクとなります。

※『実績222事例』の経験からお伝えしたいこと。 私たちタキオン法律事務所が解決した222以上の事例の中には、「数年間放置して状況が悪化した」状態からご相談に来られた方も多くいらっしゃいます。

通常清算(任意清算)

前提 債務超過でないこと(資産 ≥ 負債)
手順 ① 株主総会で解散決議(特別決議=2/3以上)
② 清算人選任・登記
③ 債権者への公告(2ヶ月以上)
④ 資産換価→債務弁済→残余財産を株主分配
⑤ 決算報告→株主総会承認→清算結了登記
期間 最短2~3ヶ月、通常6ヶ月~1年
費用 登記費用3~4万円+司法書士・税理士報酬

破産(法的整理)

前提 債務超過・支払不能状態
主体 裁判所が関与
手順 ※ 参照:「会社破産手続きの流れ
期間 3ヶ月~
費用 ※ 参照:「会社の破産に必要な費用

会社に債務(負債・借金)が残っている場合の重要事項

「もう潮時かもしれない」と考えたとき、真っ先に思い浮かぶのは「会社をそっと閉じる(畳む)」ことではないでしょうか。
「破産」という言葉は重すぎて、まずは「休眠」や「廃業」で済ませられないかとお考えになるのは、経営者として自然な心理です。
しかし、「債務(借金)が残っているかどうか」で、選ぶべき道は法的に全く異なります。間違った選択は、後々のトラブルや督促の火種を残すことになりかねません。
「会社をたたむ(畳む)」「廃業・清算」「休眠・休業」「閉鎖・閉鎖登記」「異動届出書を提出」などでは、「債務(借金・借入金・負債・滞納税・滞納社会保険料)」は消滅しません
つまり、債務(「返済すべきもの」「支払いすべきもの」)が残っている場合、例えば閉鎖登記などをしても、債務は残ったままで、債権者は当該会社の代表者(社長・経営者)に対して、返済・支払いをするまで請求・督促・催促をし続けることが可能です。
会社の債務・負債を消滅させるための最も簡易な方法は、「会社の破産」となります

※ 参照:「各種会社倒産手続き」

分類 手続きの種類 実務利用率
清算型 会社破産 93%~95%
特別清算 3%~4%
再建型 民事再生 2%
会社更生 0.10%

執筆・監修:
代表弁護士 藤沢裕一(タキオン法律事務所)
東京弁護士会(登録番号 37689)

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