自由財産とは具体的に何ですか?

意義・種類

破産財団に属さず、破産者が自由に管理処分できる財産を自由財産という。
自由財産となる財産には、

そして、破産手続開始時の破産者の財産のうち、

等がある。

① 新得財産

破産財団を構成する財産は破産者が破産手続開始時に有する財産に限定されているので(破産法34条1項)、破産者が破産手続開始後に新たに取得した財産は破産財団を構成せず、破産者の自由財産となる。

② 差押禁止財産等

差押禁止財産

破産手続は包括執行手続であるから、差押禁止財産は破産財団を構成せず(破34条3項)、破産者の自由財産となる。

民事執行法に基づくもの

民事執行法に基づく差押禁止財産として、差押禁止動産(民執131条)及び差押禁止債権(民執152条)がある。生活に欠くことのできない家財道具、農業及び漁業経営者も含め自己の知的又は肉体的な労働によって業務に従事する者のその業務に欠くことのできない器具、給料及び退職金請求権の4分の3がこれに該当する。

特別法に基づくもの

特別法に基づく差押禁止財産として、労働者の補償請求権(労働基準法83条2項)、生活保護受給権(生活保護法58条)、災害弔慰金・災害障害見舞金・被災者生活再建支援金などがある。

性質上差押えの対象とならないもの

慰謝料請求権は、行使上の一身専属権であるから、原則として差押禁止財産に当たる。しかし、破産手続開始後に当事者間において金額の合意が成立した場合など、具体的な金額の慰謝料請求権が当事者間で客観的に確定し、現実の履行を残すのみとなった場合は、例外的に行使上の一身専属性を失い(判例)、破産財団を構成するとされる。

現金

破産手続開始時に破産者が有する現金は、99万円に満つるまでが自由財産となる(破34条3項1号、民執131条3号、同法施行令1条)。

③ 破産財団から放棄された財産

破産管財人が換価不能ないし費用倒れになるなどの理由により破産財団から放棄した財産は、破産者の自由財産となる。全く買い手がつかない不動産などがこれにあたる。

④ 自由財産の範囲の拡張

破産者の個別の事情に応じ、生活の保障を図ることを可能にするため、裁判所の判断により、事案に応じてより自由財産の範囲を拡張することができる(破34条4項)。

個人破産の換価基準

実務上、法定の自由財産以外の財産も換価を行わず自由財産として扱う運用が行われており、以下の「個人破産の換価基準」は多くの裁判所で採用されている。

条文

(破産財団の範囲)
第三十四条 破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。
2 破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権は、破産財団に属する。
3 第一項の規定にかかわらず、次に掲げる財産は、破産財団に属しない。
一 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百三十一条第三号に規定する額に二分の三を乗じた額の金銭
二 差し押さえることができない財産(民事執行法第百三十一条第三号に規定する金銭を除く。)。ただし、同法第百三十二条第一項(同法第百九十二条において準用する場合を含む。)の規定により差押えが許されたもの及び破産手続開始後に差し押さえることができるようになったものは、この限りでない。
4 裁判所は、破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。
5 裁判所は、前項の決定をするに当たっては、破産管財人の意見を聴かなければならない。
6 第四項の申立てを却下する決定に対しては、破産者は、即時抗告をすることができる。
7 第四項の決定又は前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を破産者及び破産管財人に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。

破産法
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