破産手続開始が保全・強制執行に及ぼす効果は何ですか?

総論

破産手続開始の決定があると、破産債権・財団債権に基づく強制執行・保全処分は新たに行うことができず、既にされているものも破産財団に対して効力を失う(破産法42条1項、2項)。その結果、破産管財人は、当該強制執行・保全処分がないものとして破産財団に属する財産を自由に管理・換価でき、債権者が破産手続開始の決定後に執行行為に基づき取立てを行い、又は配当を受けたとしても、破産管財人は返還を請求できる(破48条)。
他方、強制執行等は絶対的に無効となるものではなく、既存の手続を活用した方が効率的な場合は、破産管財人は破産財団のために強制執行等を続行することも選択できる(破42条2項ただし書)。

破産手続開始の決定による影響を受けない強制執行等

国税滞納処分は、破産手続開始の決定後新たに行うことはできないものの、既にされている場合は続行できる(破43条1項、2項)。ただし、破産手続開始決定前に滞納処分としての「差押え又は参加差押え」がされていなければならず、「交付要求」をしているのみでは優先的には扱われない(判例)。
また、破産法上別除権となるものの担保権実行は、担保権消滅請求を別にすれば、破産手続の影響を受けない(破65条1項)。

条文

(他の手続の失効等)
第四十二条 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行又は外国租税滞納処分で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。
2 前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続並びに外国租税滞納処分で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、同項に規定する強制執行又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。
3 前項ただし書の規定により続行された強制執行又は先取特権の実行の手続については、民事執行法第六十三条及び第百二十九条(これらの規定を同法その他強制執行の手続に関する法令において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。
4 第二項ただし書の規定により続行された強制執行又は先取特権の実行の手続に関する破産者に対する費用請求権は、財団債権とする。
5 第二項ただし書の規定により続行された強制執行又は先取特権の実行に対する第三者異議の訴えについては、破産管財人を被告とする。
6 破産手続開始の決定があったときは、破産債権又は財団債権に基づく財産開示手続(民事執行法第百九十六条に規定する財産開示手続をいう。以下この項並びに第二百四十九条第一項及び第二項において同じ。)又は第三者からの情報取得手続(同法第二百四条に規定する第三者からの情報取得手続をいう。以下この項並びに第二百四十九条第一項及び第二項において同じ。)の申立てはすることができず、破産債権又は財団債権に基づく財産開示手続及び第三者からの情報取得手続はその効力を失う。

(開始後の権利取得の効力)
第四十八条 破産手続開始後に破産財団に属する財産に関して破産者の法律行為によらないで権利を取得しても、その権利の取得は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない。
2 前条第二項の規定は、破産手続開始の日における前項の権利の取得について準用する。

破産法
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