破産手続において、利害関係人は、裁判所書記官に対し、破産法及びその他の規定に基づき、裁判所に提出され又は裁判所が作成した文書その他の物件について閲覧、謄写、その正本、謄本・抄本の交付を請求することができる(破11条、破規10条)。
閲覧等の請求が認められる利害関係人とは、破産手続によって直接的に自己の私法上又は公法上の権利ないし法律的利益に影響を受ける者を意味する。(単に事実上又は経済上の利益に影響を受けるにすぎない者は含まれない。)
具体的な利害関係人は、破産債権を有する債権者、債務者(破産者)、保全管理人、破産管財人などである。
破産法等の規定に基づき裁判所に提出された主な文書としては以下がある。
また、裁判所が作成した文書等としては、命令・決定等の裁判書(破30条等)、破産債権者表(破115条)などがある。
破産手続開始の申立人は、いつでも閲覧等の請求ができる。しかし、申立人以外の利害関係人が閲覧等の請求をする場合、破産手続の初期段階における密行性を確保する必要から、時期に一定の制限が設けられている。債務者以外の利害関係人については、
また、債権者申立ての事案における債務者については、破産手続開始の申立てに関する口頭弁論若しくは債務者を呼び出す審尋期日の指定の裁判又は上記①~⑥に係る命令、保全処分若しくは裁判のいずれかがあるまでは、閲覧等の請求をすることができない(破11条4項2号)。
閲覧等の制限の対象となるのは、次に掲げる文書のうち、破産財団の管理又は換価に著しい支障を生ずるおそれがある部分(支障部分)である。
支障部分の閲覧等の制限の申立人は、当該文書等を裁判所に提出した破産管財人又は保全管理人である。支障部分の閲覧等の制限を申し立てる破産管財人又は保全管理人は、自ら提出した上記文書等について、利害関係人が閲覧等を行うことで破産財団の管理又は換価に著しい支障を生ずるおそれがある部分があることの疎明が必要であり、その疎明があった場合に、裁判所は、支障部分の閲覧等の請求をすることができる者を当該申立てをした者に限ることができる(破12条1項本文)。
閲覧等の制限の申立てがあったときは、その申立てに係る裁判が確定するまで、利害関係人(閲覧等の制限を申し立てた者を除く。)は、支障部分の閲覧等の請求をすることができない(破12条2項)。
閲覧等の制限の申立てを却下する決定に対して、申立てをした破産管財人(保全管理人)は即時抗告をすることができる(破12条4項)。これに対し、閲覧等の制限をする決定に対しては、何人も即時抗告をすることができないが、支障部分の閲覧等の請求をしようとする利害関係人は、その決定後、支障部分がないこと又は支障部分がなくなったことを理由として、当該決定の取消しの申立てをすることができる(同条3項)。閲覧等を制限する決定を取り消す決定に対して、破産管財人(保全管理人)は即時抗告をすることができる(同条4項)。同決定は確定しなければその効力を生じない(同条5項)。
(事件に関する文書の閲覧等)
第十一条 利害関係人は、裁判所書記官に対し、この法律(この法律において準用する他の法律を含む。)の規定に基づき、裁判所に提出され、又は裁判所が作成した文書その他の物件(以下この条及び次条第一項において「文書等」という。)の閲覧を請求することができる。
2 利害関係人は、裁判所書記官に対し、文書等の謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。
3 前項の規定は、文書等のうち録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、これらの物について利害関係人の請求があるときは、裁判所書記官は、その複製を許さなければならない。
4 前三項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる者は、当該各号に定める命令、保全処分又は裁判のいずれかがあるまでの間は、前三項の規定による請求をすることができない。ただし、当該者が破産手続開始の申立人である場合は、この限りでない。
一 債務者以外の利害関係人 第二十四条第一項の規定による中止の命令、第二十五条第二項に規定する包括的禁止命令、第二十八条第一項の規定による保全処分、第九十一条第二項に規定する保全管理命令、第百七十一条第一項の規定による保全処分又は破産手続開始の申立てについての裁判
二 債務者 破産手続開始の申立てに関する口頭弁論若しくは債務者を呼び出す審尋の期日の指定の裁判又は前号に定める命令、保全処分若しくは裁判(支障部分の閲覧等の制限)
破産法
第十二条 次に掲げる文書等について、利害関係人がその閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(以下この条において「閲覧等」という。)を行うことにより、破産財団(破産手続開始前にあっては、債務者の財産)の管理又は換価に著しい支障を生ずるおそれがある部分(以下この条において「支障部分」という。)があることにつき疎明があった場合には、裁判所は、当該文書等を提出した破産管財人又は保全管理人の申立てにより、支障部分の閲覧等の請求をすることができる者を、当該申立てをした者(その者が保全管理人である場合にあっては、保全管理人又は破産管財人。次項において同じ。)に限ることができる。
一 第三十六条、第四十条第一項ただし書若しくは同条第二項において準用する同条第一項ただし書(これらの規定を第九十六条第一項において準用する場合を含む。)、第七十八条第二項(第九十三条第三項において準用する場合を含む。)、第八十四条(第九十六条第一項において準用する場合を含む。)又は第九十三条第一項ただし書の許可を得るために裁判所に提出された文書等
二 第百五十七条第二項の規定による報告に係る文書等
2 前項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、利害関係人(同項の申立てをした者を除く。次項において同じ。)は、支障部分の閲覧等の請求をすることができない。
3 支障部分の閲覧等の請求をしようとする利害関係人は、破産裁判所に対し、第一項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至ったことを理由として、同項の規定による決定の取消しの申立てをすることができる。
4 第一項の申立てを却下する決定及び前項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
5 第一項の規定による決定を取り消す決定は、確定しなければその効力を生じない。
 
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