負債総額 2.8億円万円
東京
従業員: 130名
債権者: 269社
個人破産(結果:免責許可)
解決までのスケジュール
受任~申立
2日
申立~終了
6ヵ月
受任2日の超スピード破産申立
建設業特有の「(材料費・人件費の)支払い先行/入金は後回し(工事完了後の入金)」の構造が原因で、「帳簿上の利益(売上)はあるが、手元の現金(キャッシュ)が不足して支払不能に陥る」という典型的な「建設業の黒字倒産」です。負債額、債権者数、従業員数など大規模案件であったことから、混乱を避けるために受任から2日で破産申立。
本件の特筆すべき点は、法律相談時点で「反社会的勢力の関与」があったことです。
ある日の夕方、か細い声で「今からそちらに行っていいですか?会社破産の相談で。一時間ほどで着きます。」と電話がありました。事務所に来られたのは高齢の社長で、完全に憔悴しきっていると同時に、どこかそわそわと落ち着きがない様子でした。
社長が落ち着いて話し始めるのをゆっくり待ちました。徐々に事業内容など概要を話してくれましたが、突然意を決したかのように「明後日、4,000万円の売掛金の入金があります。」と。そして、経営コンサルを名乗る男が社長に「それをもって2人で沖縄に逃げましょう。あの会社はもう完全にダメなので、4,000万円持って、しばらく沖縄でほとぼりが冷めるのを数年ほど待って、それから東京に戻ればもう誰も覚えていないですよ。」というようなことを、数日前から言い始め、この時点で社長は初めてその男に対して少しだけ疑いを持ち始めたようです。
本件会社が請け負っていた業務は、ある大規模工事でしたが、当初より反社会的勢力が深く関与しているという噂は知られていましたので、私がそのことを社長に確認すると、「ええ、その通りです。現場ではみな知っています。中抜きが凄いので。」とよくご存知でした。
「社長、その男、反社ですよ。」と言うと、「分かってます。フロント企業の人間です。でもものすごく優しくて私の唯一の味方なんです。困ってる時にいつも私のそばにいて助けてくれてずっと話を聞いてくれたんです。」と。これはもう反社会的勢力の典型的な対応です。闇金でも(一部の危険な)ファクタリング会社でも暴力団でも詐欺師でも、お金が関係している間だけはものすごく優しくて、「世界でこの人だけが私の唯一の味方だ、信頼できる人だ。」と信じさせる能力はずばぬけています。そして、お金が入ると、もう用済みとばかりに豹変します。
「社長、すみませんが、率直に申しまして、沖縄に行ったら4,000万円だけ持って逃げられますよ。」と言うと、「……そんな気もするんですが…そうではない気も…….」と、もうその男は味方だという深い思い込みがなかなか消えません。(これは社会心理学でいう「認知的不協和(※)」と考えられ、やむを得ないともいえます。)ただし、同時に少しでも疑念を抱いたからこそ、わざわざ法律事務所に相談に来てくれた訳です。ですので、2時間ほど話を聞いてから、「社長、その男とは次どこで会う約束をしていますか?」と確認すると、「明日の朝8時に*****で会う約束をしてます。最後になるんであればどうしてもその最後に一度だけは会っておきたいんですがいいですか?」と。私は首を何度も振って否定し、「社長、スマートフォンを私に預けてください。」と言い、承諾を得て、すぐに預かったスマートフォンからSIMカードを抜いて、こちらで保管することにしました。
そして事務所から徒歩圏内のビジネスホテルを検索してネットで予約し、社長と一緒に歩いて、途中でコンビニで弁当と飲み物を多めに購入して、ホテルにチェックインしました。ホテルのフロントには「お手数をおかけしてたいへん恐縮なのですが、誰かから電話やファックスがあっても、誰かがここに来ても、一切この人の氏名は出さないでください、その人間は反社会的勢力です。」と伝えると、ホテルのフロントは困惑していましたが、こちらが弁護士の身分証明書を提示して名刺を渡し、「必要であれば全ての責任は私にある旨の念書を書きます。」と伝えると、「少々お待ちください。」と奥に入っていき、数分して戻ってこられて「念書は不要です。責任をもってご要請の件を確約いたします。」とプロフェッショナルな対応をしてくださいました。(本当に感謝しました。)社長には一切ホテルから出ないように、ホテルの電話で男に連絡しないように、強く何度も何度も説得しました。
翌朝8時、ホテルに社長を迎えに行き、その姿を確認してほっと安堵し、そのまま事務所に一緒に出勤しました。社長の奥様(別会社を経営)に電話をして、破産費用の全額拠出をしぶしぶながら承諾していただき(ついでに「しばらくは家に帰ってこないように伝えてください。」との社長への伝言を預かり)、社長が持っていた会社代表印と個人の認印で委任契約を締結し、前日に預かってプリントアウト済みの従業員名簿、メモ書き程度の債権者一覧、決算書(通帳は無し)などをもとに、必要最低限度の破産書類を丸一日かけて作成し、深夜に東京地裁の民事20部(倒産部)に破産の申立書とともにFAXしました。社長は引き続き同じホテルに宿泊してもらい、翌朝8時に再び迎えに行き、一緒に事務所に出勤し、午前9時30分頃、裁判所書記官から簡単に事情を確認され、1時間以内に裁判所に来るよう言われ、社長と一緒に裁判所に行きました。裁判官と裁判所書記官と会議室で面談し、反社会的勢力の関与など背景事情も全て伝えると、直ちに破産手続開始決定をしてくれました。すぐに破産管財人が決定したので、私と社長は管財人の事務所に伺うと、管財人はあまりにお粗末な破産書類に苦笑しつつ、「まあ、事情が事情なだけに仕方ないですよね。」と理解を示し、ある程度の事情を社長から聞いて、重要書類は東京の本社の他にも現地事務所にもあることを確認し、私から社長のスマートフォンとSIMカードを受け取って、すぐに社長とともに現地に飛びました。
私は同社の東京事務所に行き、ビルから少し離れたところで周囲を確認しましたが怪しげな姿は見当たらなかったので、ビルに入ってエレベーターで事務所が存在する階にいき、社長から預かっていた鍵でドアを開けようとすると、すでに開いており、そこには誰もおらず、ただ誰かに荒らされたように事務所内は書類などが散乱していました。
結果的に、破産管財人が大変な業務を遂行してくれ、6か月(債権者集会2回)で無事に終わりました。
※認知的不協和:自分の行動や信念と矛盾する新しい情報が入ってきたときに生じる不快な心理的緊張状態、およびそれを解消しようとする動機付けのこと。「あの人を信頼していた」という信念と「あの人は詐欺師だった」という事実が矛盾し、その不快感を減らすために、事実の方を否定しようとします。
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あまりに杜撰な経理体制による、典型的な「建設業の黒字倒産」の事例です。