破産手続開始の申立てについての裁判に対する不服申立ての方法は?

不服申立て

破産手続開始の申立てについての裁判に対しては、利害関係人が即時抗告の方法で不服を申し立てることができる(破産法9条、33条1項)。

不服申立権者

不服の申立ての要件としての利害関係は、事実上のものでは足りず、法律上のものであることを要する。

(1)破産手続開始の決定

(2)破産手続開始の申立ての却下決定

(3)破産手続開始の申立ての棄却決定

申立人に不服申立権が認められる。

不服申立期間

(1)破産手続開始の決定

抗告期間は、公告が効力を生じた日から起算して2週間である(破9条)。
公告は、官報に掲載して行い(破10条1項)、官報掲載日の翌日に効力を生じる(破10条2項)。

(2)公告がされない裁判

裁判の告知を受けた日から1週間である(破13条、民訴332条)。

破産手続開始の決定の取消し

(1)破産手続開始の決定の取消しとは、破産手続開始の決定が不服申立てにより取り消され(破33条3項)、破産手続開始の効果が遡及的に消滅することをいう。

(2)破産手続開始の決定が取り消される場合

破産手続開始の決定に対する即時抗告に基づいて、抗告裁判所は、抗告を理由ありと認めれば、破産手続開始の決定を取り消す。また、即時抗告があると、原裁判所が再度の考案による更正(破13条、民訴333条)として、自ら破産手続開始の決定を取り消すこともある。

(3)破産手続開始の決定が取り消される理由

破産手続開始の決定が取り消されるのは、破産者となるべき債務者に破産能力がないとき、債権者申立ての場合の申立債権の疎明がないとき(破18条2項)、債権者申立てや準自己破産の場合の破産手続開始の原因の事実の疎明がないとき(破18条2項、19条参照)、破産障害事由があるときなどがある。

(4)破産手続開始の決定の取消決定の効力発生時期

破産手続開始の決定の取消決定は、確定により効力を生ずる。
原裁判所による更正決定の場合は、更正決定に対する即時抗告期間(更正決定の告知のあった日から1週間)の経過をもって確定する。これに対し、抗告裁判所による取消しについては、取消決定の告知をもって確定する。

(5)破産手続開始の決定の取消しの効果

破産手続開始の決定の取消決定が確定すると、破産手続開始の決定時に遡ってその効力を失う。これにより、債務者は破産者として受けた身上の拘束から解放され、公私の資格を失わなかったことになる。

破産財団に関する訴訟で破産手続開始の決定により中断し、受継されなかったものは、破産手続開始の決定の取消しによって、破産者が当然に受継する(破44条6項)。破産手続開始後に破産管財人に受継されたものは、再び中断して、破産者が受継する(破44条5項)。
破産手続開始の決定によって効力を失った強制執行等(破42条2項)は、破産管財人の管理処分行為によって事実上回復不可能なものを除き、破産手続開始の決定時の状態を基準として復活し、申立債権者等は、当該手続を続行することができる。

裁判所と破産管財人の処置

破産手続開始の決定の取消決定が確定した場合、裁判所は、直ちに取消決定の主文を公告し(破33条3項前段)、破産管財人・破産者・破産債権者・財産所持者などに取消決定の主文を通知する(同項後段)。
郵便物等の通信の秘密に対する措置も解除される(破81条3項)。
裁判所書記官は、破産手続の取消しの登記登録を嘱託しなければならない(破258条2項、262条)。財産保全処分の登記も同様である(破259条)。
破産管財人は、財団債権を弁済し、その存否又は額について争いのある財団債権については、債権者のために供託することを要する(破90条2項)。

条文

(不服申立て)
第九条 破産手続等に関する裁判につき利害関係を有する者は、この法律に特別の定めがある場合に限り、当該裁判に対し即時抗告をすることができる。その期間は、裁判の公告があった場合には、その公告が効力を生じた日から起算して二週間とする。

(公告等)
第十条 この法律の規定による公告は、官報に掲載してする。
2 公告は、掲載があった日の翌日に、その効力を生ずる。
3 この法律の規定により送達をしなければならない場合には、公告をもって、これに代えることができる。ただし、この法律の規定により公告及び送達をしなければならない場合は、この限りでない。
4 この法律の規定により裁判の公告がされたときは、一切の関係人に対して当該裁判の告知があったものとみなす。
5 前二項の規定は、この法律に特別の定めがある場合には、適用しない。

(民事訴訟法の準用)
第十三条 破産手続等に関しては、特別の定めがある場合を除き、民事訴訟法の規定を準用する。

(抗告)
第三十三条 破産手続開始の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
2 第二十四条から第二十八条までの規定は、破産手続開始の申立てを棄却する決定に対して前項の即時抗告があった場合について準用する。
3 破産手続開始の決定をした裁判所は、第一項の即時抗告があった場合において、当該決定を取り消す決定が確定したときは、直ちにその主文を公告し、かつ、前条第三項各号(第三号を除く。)に掲げる者にその主文を通知しなければならない。ただし、第三十一条第五項の決定があったときは、知れている破産債権者に対しては、当該通知をすることを要しない。

(破産手続開始の申立て)
第十八条 債権者又は債務者は、破産手続開始の申立てをすることができる。
2 債権者が破産手続開始の申立てをするときは、その有する債権の存在及び破産手続開始の原因となる事実を疎明しなければならない。

(法人の破産手続開始の申立て)
第十九条 次の各号に掲げる法人については、それぞれ当該各号に定める者は、破産手続開始の申立てをすることができる。
一 一般社団法人又は一般財団法人 理事
二 株式会社又は相互会社(保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第五項に規定する相互会社をいう。第百五十条第六項第三号において同じ。) 取締役
三 合名会社、合資会社又は合同会社 業務を執行する社員
2 前項各号に掲げる法人については、清算人も、破産手続開始の申立てをすることができる。
3 前二項の規定により第一項各号に掲げる法人について破産手続開始の申立てをする場合には、理事、取締役、業務を執行する社員又は清算人の全員が破産手続開始の申立てをするときを除き、破産手続開始の原因となる事実を疎明しなければならない。
4 前三項の規定は、第一項各号に掲げる法人以外の法人について準用する。
5 法人については、その解散後であっても、残余財産の引渡し又は分配が終了するまでの間は、破産手続開始の申立てをすることができる。

(他の手続の失効等)
第四十二条 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行又は外国租税滞納処分で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。
2 前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続並びに外国租税滞納処分で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、同項に規定する強制執行又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。
3 前項ただし書の規定により続行された強制執行又は先取特権の実行の手続については、民事執行法第六十三条及び第百二十九条(これらの規定を同法その他強制執行の手続に関する法令において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。
4 第二項ただし書の規定により続行された強制執行又は先取特権の実行の手続に関する破産者に対する費用請求権は、財団債権とする。
5 第二項ただし書の規定により続行された強制執行又は先取特権の実行に対する第三者異議の訴えについては、破産管財人を被告とする。
6 破産手続開始の決定があったときは、破産債権又は財団債権に基づく財産開示手続(民事執行法第百九十六条に規定する財産開示手続をいう。以下この項並びに第二百四十九条第一項及び第二項において同じ。)又は第三者からの情報取得手続(同法第二百四条に規定する第三者からの情報取得手続をいう。以下この項並びに第二百四十九条第一項及び第二項において同じ。)の申立てはすることができず、破産債権又は財団債権に基づく財産開示手続及び第三者からの情報取得手続はその効力を失う。

(破産財団に関する訴えの取扱い)
第四十四条 破産手続開始の決定があったときは、破産者を当事者とする破産財団に関する訴訟手続は、中断する。
2 破産管財人は、前項の規定により中断した訴訟手続のうち破産債権に関しないものを受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
3 前項の場合においては、相手方の破産者に対する訴訟費用請求権は、財団債権とする。
4 破産手続が終了したときは、破産管財人を当事者とする破産財団に関する訴訟手続は、中断する。
5 破産者は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
6 第一項の規定により中断した訴訟手続について第二項の規定による受継があるまでに破産手続が終了したときは、破産者は、当然訴訟手続を受継する。

(郵便物等の管理)
第八十一条 裁判所は、破産管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは、信書の送達の事業を行う者に対し、破産者にあてた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(次条及び第百十八条第五項において「郵便物等」という。)を破産管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。
2 裁判所は、破産者の申立てにより又は職権で、破産管財人の意見を聴いて、前項に規定する嘱託を取り消し、又は変更することができる。
3 破産手続が終了したときは、裁判所は、第一項に規定する嘱託を取り消さなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による決定及び同項の申立てを却下する裁判に対しては、破産者又は破産管財人は、即時抗告をすることができる。
5 第一項の規定による決定に対する前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

(任務終了の場合の財産の管理)
第九十条 破産管財人の任務が終了した場合において、急迫の事情があるときは、破産管財人又はその承継人は、後任の破産管財人又は破産者が財産を管理することができるに至るまで必要な処分をしなければならない。
2 破産手続開始の決定の取消し又は破産手続廃止の決定が確定した場合には、破産管財人は、財団債権を弁済しなければならない。ただし、その存否又は額について争いのある財団債権については、その債権を有する者のために供託しなければならない。

(個人の破産手続に関する登記の嘱託等)
第二百五十八条 個人である債務者について破産手続開始の決定があった場合において、次に掲げるときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、破産手続開始の登記を登記所に嘱託しなければならない。
一 当該破産者に関する登記があることを知ったとき。
二 破産財団に属する権利で登記がされたものがあることを知ったとき。
2 前項の規定は、当該破産者につき、破産手続開始の決定の取消し若しくは破産手続廃止の決定が確定した場合又は破産手続終結の決定があった場合について準用する。
3 裁判所書記官は、第一項第二号の規定により破産手続開始の登記がされた権利について、第三十四条第四項の決定により破産財団に属しないこととされたときは、職権で、遅滞なく、その登記の抹消を嘱託しなければならない。破産管財人がその登記がされた権利を放棄し、その登記の抹消の嘱託の申立てをしたときも、同様とする。
4 第一項第二号(第二項において準用する場合を含む。)及び前項後段の規定は、相続財産又は信託財産について破産手続開始の決定があった場合について準用する。
5 第一項第二号の規定は、信託財産について保全管理命令があった場合又は当該保全管理命令の変更若しくは取消しがあった場合について準用する。

(保全処分に関する登記の嘱託)
第二百五十九条 次に掲げる場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、当該保全処分の登記を嘱託しなければならない。
一 債務者の財産に属する権利で登記されたものに関し第二十八条第一項(第三十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による保全処分があったとき。
二 登記のある権利に関し第百七十一条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)又は第百七十七条第一項若しくは第二項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による保全処分があったとき。
2 前項の規定は、同項に規定する保全処分の変更若しくは取消しがあった場合又は当該保全処分が効力を失った場合について準用する。

(登録のある権利への準用)
第二百六十二条 第二百五十八条第一項第二号及び同条第二項において準用する同号(これらの規定を同条第四項において準用する場合を含む。)、同条第三項(同条第四項において同条第三項後段の規定を準用する場合を含む。)並びに前三条の規定は、登録のある権利について準用する。

破産法
会社破産に強い弁護士のサポートで再出発を!
ご安心ください!弁護士のサポートで再出発を!
破産に関するご相談は24時間受付 会社破産の解決事例 適切な分割払いが可能 ある会社の自己破産ストーリー お客様の声 会社破産のよくある質問66 タキオン法律事務所の採用情報
会社破産の無料法律相談 0120-8383-97 メールで連絡する